
経済産業委員会
円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案
○宮﨑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。佐原若子君。
○佐原委員
れいわ新選組、佐原若子です。今日も質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。何か何度も何度も同じようなことばっかり聞いて申し訳ないんですけれども、では、納得が行くまでまた質問させていただきます。ありがとうございます。早期事業再生法案に関してのお尋ねをします。雇用条件、人員整理といった労働者への影響はどのようなものが生じるとお考えでしょうか。
○藤木政府参考人 お答えを申し上げます。本法案におきましては、なるべく早い段階で債務整理をすることによってスムーズに事業再生を実現するということを目的としておりますので、必ずしも雇用条件の変更や人員整理といった影響が生ずるわけではないというふうに思っています。ただ、個別の案件によっては、そういった、事業を再生していく上で、例えば、一部事業の縮小、あるいは事業所の閉鎖、就業場所の変更や配置転換、更に進んだ場合には、希望退職者、雇用の削減といったようなケースもあると考えられておりまして、ケース・バイ・ケースでございますが、そういったケースも場合によっては生じ得るというふうに考えてございます。
○佐原委員 ありがとうございます。確かに早期に解決するということはとても大事なことですけれども、その中で、そこにはやはり人間が絡んでいるので、労働者のこと、周りのこと、よくお考えの上でしていただきたいなと思います。次に、労働者に事業再生に伴い生じ得るマイナスの影響について、政府が関与して支援、救済すべきと考えていらっしゃいますか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。まず、本法律は、円滑な事業再生の実施を図ることを目的としておりまして、それで、金融機関等の有する金融債権に限定をして減免等を行う手続を定めているものでございます。したがいまして、いわゆる労働債権は、何度か答弁もさせていただいておりますけれども、減免等の対象とはしていないという法律でございますので、本法律の中で、制度の導入に伴って、補助金ですとか、そういった類いの財政支援を予定しているものではございません。ただ、しかしながら、本制度は、先ほどもお話がございましたが、早期での事業再生を図るということでございますので、その結果、事業価値の更なる毀損を防ぐということが可能となる制度でございますので、雇用の維持にも寄与しますし、従業員の方々の利益にも資するものであると考えてございます。
それから、事業再生局面にある企業の雇用の維持ですとか賃金の水準の確保のために一般的に一律の財政支援措置というのは講じているものではございませんけれども、一般的に申し上げますと、経済情勢が例えば急激に悪化したことによって企業が事業整理を余儀なくされる場合みたいなときには、従業員へのマイナスの影響を回避するための支援は必要であるというふうに考えてございます。その観点から申し上げますと、例えば、厚生労働省におきましては、景気の変動等の経済上の理由により急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対して、従業員の雇用の維持を図るために、休業手当などの一部を助成する制度でございます雇用調整助成金を設けているというふうに承知してございます。いずれにいたしましても、事業再生に伴う様々な課題がございますので、引き続き関係省庁とも議論しながら検討を続けていきたいと考えてございます。
○佐原委員 ありがとうございます。その中で犠牲になる方がいらっしゃらないように、監督をしていただきたいと思います。次に、本法案では、労働者の意見陳述の機会は特段設けておらず、雇用や賃金減少に関しては運用面で適切に対応したいとしていらっしゃいますが、具体的に運用面でどのように対応なさいますか。教えてください。
○武藤国務大臣 これまでも議論されてきているところでございますけれども、本法案において、未払い賃金ですとか退職金等の労働債権、これは減免等の対象にはなっていないところでありますが、従業員が関与する手続というものは、法律上、特段設けられておりません。他方で、今委員がおっしゃられるように、従業員の理解と協力というものを得ることは、事業再生の成否を決する上で重要な観点であります。このため、早期事業再生計画において会社分割あるいは事業譲渡等によって雇用や賃金の減少が見込まれる事案につきましては、関連する労働法制にのっとった手続に加えて、本制度上でも運営面で適切に対応していくこととしているということと今までも答弁させていただきました。具体的に申しますと、第三者機関への計画提出に先立って労働組合等へ通知を行うことを省令で規定をし、そして労働組合等がその後の協議等に向けた準備が行えるように環境を整えていきたいということであります。
○佐原委員ありがとうございます。従業員の対応というものを必ず忘れずにしていただきたいと思います。次に、事業再生に伴う労働者の労働条件変更等については労働法によるとしていますが、法案作成に当たり、厚生労働省とも協議は行われてきたのでしょうか。教えてください。
○河野政府参考人お答え申し上げます。度々申し上げてございますけれども、本法案は、金融機関等の有する金融債権に限定をして、その減免等を行う手続を定めておりますので、未払い賃金それから退職金等の労働債権は減免の対象とはしていない、まず、そういう整理でございます。また、早期事業再生計画は、対象の債権者が債権の減免等に関する賛否を判断するために交付される参考資料でございます。本制度によって、計画に記載された内容に法的拘束力が生ずるというものではございません。このため、仮に早期事業再生計画に労働条件の変更等に関する記載がなされたとしても、別途関連する労働法制ですとか指針等を遵守する必要があるという法のたてつけになってございます。御指摘いただきましたこうした考え方、労働法制の適用に関する考え方につきましては、厚生労働省とも認識は共有をしているところでございます。
○佐原委員今後ともしっかり厚労ともお話合いをして、不利益にならないようにケアしていただきたいと思います。早期事業再生計画に対して、労働者の方から直接お声が寄せられました。まず、雇用や労働条件に影響のないようにしてもらいたい、労働条件の引下げは困ります、最低賃金の引上げなど賃金引上げが現政権の政策なのではないか。次に、労働債権は事業再生に当たっては完全に保護されるべきではないか。次に、債権者集会では雇用される事業者の意見陳述の機会を付与すべきではないか。率直なところ、こういう御不安を働く方たちが持っていらっしゃいます。それに関して、どのようにお考えになりますでしょうか。お伺いしたいと思います。
○河野政府参考人お答え申し上げます。繰り返しになりますけれども、この法律そのもののたてつけといたしましては、この法律によって、別途整備されております関連する労働法制それから指針等をしっかり遵守をするということが必要となってございますので、こういったことを、今御指摘いただいたような不安の声その他、広がらないように、生まれないように、しっかりと施策の周知徹底を図っていかなければならないというふうに考えているところでございます。
○佐原委員ありがとうございました。こうした声が寄せられているということは、政府への改善の期待を込めてのことでもあります。本法案では、雇用や労働条件の変更に関しては別途労働法によると重ねて御答弁いただいておりますが、そこに行く前に、しっかりと働く方を守り、その力を生かしていくことが経産省のお力によるところと思います。そのためには経産省でできることは何だとお思いでしょうか。
○河野政府参考人お答え申し上げます。まずは、先ほども申し上げたとおり、そういう制度に対する誤解ですとか御不安が生まれないように、運用の局面において施策の内容を広くしっかりと周知をしていくという努力をすることだと思っております。その上で、この法案、繰り返しになりますけれども、早期の事業再生を可能にすることによって、事業活動を再生することで事業の価値の毀損を防ぐその他、結果としまして従業員の皆様にも資する法律となっているところでございますけれども、この法律の施行に加えまして、やはり企業がしっかりと競争力を高めていただいて、しっかり投資をしていただいて、しっかり仕事をつくっていただいて、経済の活力をしっかり生み出していただいて、そういった中で、結果として、仕事が増え、労働者の皆様方のある意味利益につながるということが大事だと思っておりますので、そういう本質的な企業活力、企業の競争力の強化に向けて経済産業政策をしっかり展開していくということが大事だというふうに考えてございます。
○佐原委員ありがとうございます。そのとおりだと思いますが、企業に対しての支援がもっと早期に必要だったのではないかなという反省点をよく考えていただきたいと思うんですね。失われた三十年。政府のけちけち政策がこのような状態になったのではないかと思うんですね。私は今日、マレリの、私的整理成立せずというニュースを見まして、これってこれからどんどん起こり得ることだなと思ったんですよ。その中で、やはり、海外のファンドが会社を買っていく。韓国の状況を見たときに、前にもお話ししたんですけれども、私はいつも危惧するんですよ。韓国の企業、大躍進しました。しかし、韓国の方々の生活は本当に豊かになっただろうかと思うんですね。ですから、日本もそのような状態になり得るんじゃないかなと思うんですよ。再生するのはいいけれども、その再生の果実は、結局、海外に持っていかれてしまう、あるいは、ノウハウ、技術、それから人材というものが海外に流出してしまうのではないかというおそれがあるんですね。いつも思うんですよ。日米合同会議で決まったことが法律の中に忍び込まされていて、消費税もそうだったし、いろいろなものがあります。ですから、これがそういう形になって、日本という国の技術や人材、心が失われていかないように、私は大臣にもお願いしたいんですね、この守るということは、やはり積極的な財政出動をして、企業を守っていっていただきたい、投資もできるように。投資ができなかったんですよね、よく回っていかなかった、コストも上がって、なかなか投資をしていくというところに回らなかったということはやはり反省点だと思うんです。これからも海外で買われていってしまって、あれっ、いつの間にか日本のフラッグがないなというようなことにならないように、そういう危惧はありませんか、大臣。通告にないんですけれども、済みません。
○武藤国務大臣 議員の懸念が払拭されるように、日本経済そのものを元気にさせませんといけませんので、我々もしっかりそれに対応をさせていただきたいというふうに思います。
○佐原委員 ありがとうございます。経産省の皆様のレクでも十分私も分かったんですよ、会社を潰そうとするんじゃなくて、整理するということは伸ばしていこうというお気持ちだということはよく分かったんですが。しかし、そこまでの力が失われてしまっているというところもあります。ですから、十分な支援を、もう質疑時間が過ぎてしまいました、本当に、いろいろ申し上げましたけれども、皆様の努力が実を結ぶように、日本がもっと元気になるようにと祈念申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうも本日はありがとうございました。