{国会報告}2025/4/9 経済産業委員会

支援のあり方を問う!part3

宮﨑委員長次に、佐原若子君。

佐原委員れいわ新選組、佐原若子です。いつもいつも申し訳ありません。まず、大臣に、NTT株と光技術の件についてお伺いします。日本の技術は国で守るべきであると思います。二〇二三年、岸田首相が軍拡予算の増額を決めたことを受け、自民党プロジェクトチームは、政府保有のNTT株の売却益を財源に充てることを検討と発表しました。このとき、れいわ新選組と共産党さんが反対したことを記憶しています。このときの政権に対して、何てことをするんだろうなというふうに思いました。高度情報化社会の流れの中で、セキュリティーの面から、安全保障上からも絶対に売却するべきではないのにとあきれました。次世代半導体、技術革新、性能の向上に関しても非常に重要な光通信の技術を持っているNTTはとても重要です。そのような株を売ろうとするマインドを持つ人が一定数いらっしゃる中で、今後更なる軍拡予算が必要となったとき、ラピダス株を売ろうとする局面はないでしょうか。私は、ラピダス株の一定数を国が持つべきとも思っています。この点を危惧していますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

武藤国務大臣済みません、事前通告の関係、ちょっと理解していないんですけれども、NTT法の関係の件と、ラピダスでもそういう公的なものを持つべきではないかという御質問ですね。後ほど、後で、じゃ、参考人の方から答えますけれども、NTTはちょっと私どもの所管じゃないので、申し訳ありません、答えられないところをお許しいただきたいと思います。

奥家政府参考人お答え申し上げます。ラピダスの株の持ち方とか、そういったものについては、るる御議論いただきましたとおり、議決権の在り方とか、そういったことはこれから考えていきますし、それは今後適切に対応していく。ただ、重要な技術であるということで、ここの場でも黄金株のような御議論なんかもいただいています。そういったものもしっかりと踏まえながら考えていくということだというふうに認識しております。

佐原委員ありがとうございます。なので、そういう、例えば他国からの要請があって、もっと軍拡をしろと言われても、是非ともそれは売らないでいただきたい、そう思います。次に、四月四日の御答弁でPFASの管理について御説明いただきました。しかし、日本の目標値はアメリカの五倍以上の緩さ、加えて、日本の目標値の評価手順、方法は、物質のリスクを追求するに値しないものです。日本における評価方法も問題がある中で、まず、少なくとも世界の最も厳格な基準に合わせるべきだと考えます。そして、そこには法の拘束力が必要であると考えます。PFASががんなどの健康被害が指摘されておりますので、予防原則が国の責任ではないでしょうかとお尋ねいたします。

奥家政府参考人お答え申し上げます。PFASに関するものを含めまして、国の法令や地方自治体の条例で定められた環境規制について、半導体工場でも当然遵守していく必要があります。まず、有機フッ素化合物であるPFASのうち、PFOS、PFOAにつきましては、飲み水を経由した健康リスクの低減を図ることがまず重要。これらにつきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法で使用が禁止されており、半導体工場においても使用されていないというふうに認識をしています。現在、PFOSとPFOAにつきましては、水道事業者などに水質基準の遵守や検査及び公表を新たに義務づける制度案のパブリックコメントが実施されていると承知しています。こうした水道法の規制により、飲み水を経由した国民の健康リスクの低減が実現されていくものというふうに認識をしています。また、PFOS、PFOA以外のPFASにつきまして、一万という、非常に数が多く、有害性や環境中の濃度など、科学的知見が十分に得られていないということから、関係省庁がその充実に努めていくものと認識しています。その上で、JASMやラピダスなど半導体工場の方では、規制対象となっていないPFASも含めまして、工場で使用した水はPFASの吸着効果がある活性炭処理をした上で排水する、規制対象外のPFASが含まれる可能性がある材料については、回収の上、産業廃棄物として専門の外部事業者に引き渡す、事業者と関係自治体が連携し、定期的なサンプリングの下、自主管理するなどの自主的な取組を講じているというふうに承知しています。経済産業省といたしましては、引き続き事業者に関係法令の遵守を求めるとともに、関係省庁、関係自治体と連携しながら適切に対応していきたいと考えています。

佐原委員ありがとうございます。基準値は他省庁の所管で、それを遵守させるよう努めるのが経産省ということでしたが、その値が妥当なのか安全なのかは検証しているのでしょうか。産業支援を行う以上、その地域の経済の振興、さらにその基盤となる地域の皆様の安全、健康は大前提です。その責任をどう考えていますか。公害の歴史に対する反省はありますか。れいわ新選組は次世代半導体の開発と増産に反対しているわけではありません。環境や人々の健康侵害を回避することは、ラピダスという会社を守ることでもあります。国民の、産業界からも大きな期待が向けられています。国策会社であるラピダス社は、国民に、子供たちに、世界に誇れる会社であってほしいのです。誰も傷つけず、世界中の人々にすばらしいメイド・イン・ジャパンのテクノロジーで世界に平和と繁栄をもたらす、まさしく、大いなる大和の心を持つ、すばらしい哲学を持った会社であってほしいのです。輸出管理に関してもお尋ねします。四日の御答弁で御説明をいただきました。経済産業省のホームページでは、四年ほど前の資料で半導体ではありませんが、輸出許可が下りた製品がエンドユーザーを隠しながら巧妙に取引され、軍事転用された事例が紹介されています。政府では国際的な輸出国の枠組みや協定で対策を強めていますが、効果はありましたか。国が支援するのなら、政府の責任としてブロックチェーンで商品の行方を確認するなど、実効性ある対応をするべきではないでしょうか、お伺いします。

伯野政府参考人お答えいたします。我が国では、食品等から摂取するものに関する健康影響の評価を独立した立場で科学的に実施する内閣府食品安全委員会におきまして、米国も含めた各国、各機関が参照した最新の知見も含めて評価がなされたというふうに承知しております。昨年六月に食品安全委員会によりまして設定されました耐容一日摂取量を踏まえまして、我が国の水道水の水質基準等の設定で通常用いられる方法、環境省において、体重五十キロ、一日当たりの摂取量、これは水の摂取量二リットル、摂取量全体、体にPFASを摂取してしまうであろう全体に占める水道水からの寄与の割合、割当て率一〇%を用いて、五十ナノグラム・パー・リットルを算出したところでございます。結果として、現行の暫定目標値と同じ値となりますが、この値を水道事業者等に遵守や検査等を義務づける水質基準に引き上げることが本年二月六日に環境省の審議会において了承されたところでございます。引き続き、今春をめどに方向性を取りまとめるべく、手続を進めてまいりたいと考えております。

猪狩政府参考人お答えいたします。御質問いただきました、第三国を例えば経由して懸念国に輸出される迂回輸出、このような問題に対応するため、経済産業省としましては、税関を始めとした国内及び海外の関係機関と協力をしまして、外為法の執行を強化しているところでございます。例えば、巧妙な迂回輸出のリスクを低減するため、関係省庁と連携しまして、輸出される企業や通関業者、こういう方々に説明会を開催しまして、巧妙な手口にも触れつつ、最終需要者、最後にどなたが使われるか、若しくは用途の確認などの徹底を促しているところでございます。また、昨年四月に、日本、アメリカ、韓国、三か国で、不正な技術移転に対処するため、輸出管理の執行機関の間における情報共有を行う、こういうことについても合意しております。引き続き、このような軍事転用を未然に防ぎ、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、国内関係機関との協力を引き続き進めてまいります。

佐原委員ありがとうございました。先日、キャッチオール規制ということを教えていただいたんですけれども、そのことに関して詳しく教えていただけますか。

猪狩政府参考人お答えいたします。キャッチオール規制につきまして、例えば製品の仕様や性能上は、例えば高い性能のものではない、そういうようなものについては規制対象にはなってはございませんが、輸出する時点で、例えば小さな電子部品、このようなものであっても、大量破壊兵器などの開発、製造に用いられるおそれがある場合には、これをまた輸出者が認識されている場合又は我々経済産業省の方で認識して輸出者に通知した場合、このような場合にはキャッチオール規制により許可を取る必要がございます。

佐原委員ありがとうございました。かつて、インテルインサイドというのは懐かしい言葉です。ラピダスのブランド名も各国の製品につけることができればPRになると思いますが、そういうこともできる可能性はありますか。

奥家政府参考人お答え申し上げます。企業の事業戦略におきまして、委員御指摘をいただきましたブランディング、これは重要なものだと認識しています。かつてのインテルは、自社で設計、製造した製品を自ら販売したのに対しまして、ラピダスにつきましては、TSMCと同様、自社で設計や販売は行わず、顧客企業の委託を受けて製造のみを行うファウンドリービジネスを展開しようとしている点に違いが存在します。そのため、ラピダスが製造した製品に関するブランディングは、一義的には設計、販売を行った顧客企業が主体的に行うものであります。ただ、ラピダス自身のブランディングにつきましては、主に技術開発や量産等に関する顧客企業等とのコミュニケーションや信頼関係の中で確立されていくものだろうというふうに考えています。また、我が国の半導体産業が過去にシェアを落としたこと、これは海外との連携不足ということがございます。ブランディングもさることながら、海外との連携ということで、ラピダスプロジェクトでは、アメリカのIBMやベルギーのimecといった世界トップクラスの機関と連携をしながら、顧客開拓につながる設計開発に対する支援も実施しています。こういった取組を進めていくことで、ラピダスプロジェクトが大きく前進していくよう全力で取り組んでまいりたいというふうに考えています。

佐原委員ありがとうございます。かつて、日米半導体摩擦があった頃、東芝が国際市場で販売制約を受けたときに、モトローラの名を冠して販売することで販路を維持したことがありました。ラピダスも、例えば、IBMとの技術提携があるのなら、アメリカIBMを冠して販売することも可能ですね。その場合、アメリカの市場において、アメリカの対外政策の影響も軽減できると考えていいのでしょうか。

奥家政府参考人お答え申し上げます。一義的に、今回の措置が、国内で製造しているもの、していないものとか、そういったいろいろな切り方で判断はされていくものと思いますけれども、IBMとの密接な連携、日米で共に非常に深い密接な関係を構築して取り組んでいる事業、その成果物というふうに認識はされて、評価はされていくものというふうに認識をしています。

佐原委員ありがとうございます。そういったアメリカの認識があるとすれば、アメリカで国防を視野にと語ったラピダスの会長の発言はなお懸念されます。IBMの製品として、日本政府の手を離れてどのようにも販売され、利用されることを懸念いたしますが、いかがでしょうか。

奥家政府参考人お答え申し上げます。まず、ラピダスが量産を目指している次世代半導体、これは様々な利用用途で実際に活用されることになりますし、自動運転とか生成AIとか、恐らく不可欠な存在となっていく。こういう状況であるものについて、ラピダスからは、現時点では軍事への利用という想定はしていないと聞いています。政府は、その上で、ラピダスの販売先に制限を課すということは、支援の目的や営業の自由などの観点から慎重であるべきだと考えています。いずれにいたしましても、ラピダスを含めて海外への先端半導体の輸出につきましては、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、引き続き厳格な輸出管理の下で対応されていくというふうに認識をしています。

佐原委員ありがとうございます。ただ、現時点ではということだったので、これからも引き続き監督をよろしくお願いいたします。次に、泊原発の件です。当初、ラピダスは、再エネを活用していく旨を発表していらっしゃいました。関連会社も、一〇〇%自然エネルギーを使用すると言った社長さんもいらっしゃいました。しかし、ラピダスの工場の維持に大量のエネルギーを使うから泊原発を再稼働するということはやめてもらいたいのです。ラピダスを泊原発再稼働の言い訳にはしてほしくはないんです。ラピダスのイメージ戦略としても、オーセンティックな、メイド・イン・ジャパンで、正義で、そして、人々の暮らし、自然エネルギーとそして自然を守る、そういったすばらしい整合性のある会社として、大いなる大和の心を持ったすばらしい会社であってほしいんです。そのためにも、泊原発再稼働は絶対に避けるべきと考えます。道民の協力、国民の協力、期待、そういった感情を裏切らないでほしいのです。あくまでも正しく、ラピダスの哲学、倫理性を保ってほしいのです。どうでしょうか、大臣。

武藤国務大臣大和の心は大変大事だと誠に共有するところであります。ラピダスからは、次世代半導体の量産においては、量、価格共に安定的な脱炭素電源の供給確保、これが大変重要だというふうに説明をいただいています。地域との共生と国民負担の抑制、これも大事なことでありまして、再エネの最大限の導入、これは進めてまいりますけれども、電力需要の増大が見込まれる中で、再エネのみでは、安定供給、ここに課題があると認識をしているところでもあります。安定供給と脱炭素化の同時実現、このためには、再エネも原子力も、これは最大限活用する必要があると考えているところであります。北海道というものは、今、現状、発電電力量の約六割、これが火力に依存しています。泊発電の再稼働というものは、これは先ほど申した安定供給と脱炭素化に大きく寄与するものでありますが、電力価格の抑制にもつながります。そうした重要な位置づけを有しているという認識の上で、この再稼働というものについては、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を認めた場合のみ進めるというのが政府の方針であることを御理解いただきたいと思います。

佐原委員ありがとうございます。時間ですが、ちょっとだけ。ジャパン・メイドの企業ですから、例えば、ラピダスは水をたくさん使いますよね、ですから、例えば、その途中にマイクロ水力発電などそういったものを組み込んでいったり、それから、ペロブスカイトなども窓とか屋根とかに、壁面とかにつけていくとか、そういうオール・ジャパンのものをいろいろ工夫して入れていくということも、中小零細企業の力もかりながら、オール・ジャパンで、本当の意味でのオール・ジャパンでやっていってほしいな、そして国民の期待に応えてほしい。特に、光半導体というものは物すごい可能性があると思うので、是非そのことをお願いしつつ、質問を終了させていただきます。本日もありがとうございました。

     ☆以下、反対討論

宮﨑委員長これより討論に入ります。討論の申出がありますので、順次これを許します。佐原若子君。

佐原委員 ありがとうございます。れいわ新選組、佐原若子です。反対討論をさせていただきます。まず、私の言葉で。日本政府が大規模な資金投入で半導体産業を再生させようとしたことはすばらしいと思いました。参考人としていらした小池社長が、スイッチを入れたと興奮ぎみに語る姿、日本の技術者としての誇りを感じました。私自身も感じました。皆さんも、あの姿、御覧になりましたよね。こういう技術、そしてそれを守り育てる人材は、全ての人に歓迎され、必要とされて育ってほしい、そう思うんです。だからこそ、この産業のために誰をも犠牲にしてはいけない、その思いで質疑を重ねてまいりました。原発のこと、PFASのこと、軍事転用のこと、地域のこと。またかと思われたと思いますけれども、何度も質問させていただきました日本のすばらしい技術、人材、産業は、みんなの幸せのために末永く生かされてほしい。しっかり責任を持って育ててほしいんですよ。今の内容だと犠牲を生みかねない内容だということを感じざるを得なかったんです。どうか御理解ください。

では、原稿に沿ってお話をさせていただきます。

第一に、地域経済、中小企業への直接的支援はなく、波及効果が見えにくいことです。一方、支援が一部の企業への支援に偏っていることです。

第二に、エネルギー大量消費に伴う原発依存の再燃です。法案策定当初にあった再生可能エネルギーを基本とするという支援対象企業などによる原則が後退し、泊原発の再稼働に道を開けるような動きさえ見られます。

第三に、軍事転用に対する歯止めが全く示されていません。半導体が軍事利用ありきでないことを明確にすべきです。

第四に、有害物質PFASに関する厳格な管理基準がなく、地域住民の健康被害への懸念が払拭できません。

支援対象企業となる企業の会長が米国企業IBMから量産の打診を受けたことを契機に、経済産業省が動き出しました。そして、法案の支援対象事業者は公募としながらも、実質的には対象企業が確定した状態の出来レースと言えるものです。さらには、デュアルユースである半導体の輸出管理に関しては、既存の外為法に頼るばかりで実効性を欠きアメリカの対中政策の構図に日本の半導体産業が組み込まれていることを否めません

政府による公的な投資は非効率である、全て民間に任せればよいという新自由主義的な考えの下、公的な投資は否定され、減らされ続けてきました。しかし、実際には、民間のイノベーションの成功例だと言われるものの多くは、元々は政府による公的投資で生み出された技術を利用しているのです。公的投資によって日本の技術力を更に高め、産業を活性化させることは必要です。しかし、その恩恵は誰一人も犠牲を生まず、この国に生きる全ての人に恩恵が還元されなければなりません。そして、平和国家日本として、責任のある産業政策でなければなりません

よって、本法案の抜本的な見直しを求めて、れいわ新選組を代表しての反対討論といたします。日本が誇る産業を、誰一人犠牲も生まないよう、責任を持って支援してください。そして、世界に誇れるものにしていきましょう。省庁の皆さんからも、そうしたいという気持ちを、気概を感じました。どうかもう一度根本的に見直して、この国に生きる全ての人に恩恵が還元されるものとしていただきたいと思います。反対討論を終わります。

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