{国会報告}2025/2/20 福島原発事故・医療費負担減免の打ち切りについて

衆議院 予算委員会 一般質疑 (福岡厚生労働大臣 武藤経済産業大臣)

安住委員長

これにて西園君の質疑は終了いたしました。

次に、佐原若子さん。

佐原委員

れいわ新選組、佐原若子です。

本日は質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

私は東北ブロック選出の議員として、東北の皆様のお話を聞いてまいりました。東北には、電力会社で働く方、行政で働く方もたくさんいらっしゃいます。そして、今も、福島第一原発事故によって約二万五千人の方が避難されています。政策に意見を上げたくても上げられない方のお声も現地でたくさん聞いてまいりました。東北の皆さんの命が懸かった声を政治に反映するために、本日は質問のお時間をいただきました。よろしくお願いいたします。

まず、福岡厚生労働大臣にお尋ねします。

東日本大震災の被災者の方の国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険における一部負担金、利用者負担金及び保険料の特例減免措置に関する予算ですが、令和二年度で六十億円、執行額が五十六億円、令和五年度で予算四十六億円、執行が四十二億円、今年度予算では二十九億円と縮小しています

これに関係しまして、東京電力福島第一原子力発電所事故、以下、福島原発事故と申し上げます、に伴う避難指示区域等における被保険者等の一部負担金利用者負担及び国民健康保険料、介護保険料の減免措置について、令和四年四月八日付で厚生労働省、復興庁から発出された令和五年度以降の財政支援取扱いについてお尋ねします。

避難指示の解除に伴い段階的に支援打切りをしていますが、なぜ医療支援を打ち切るのでしょうか。軍拡よりも人々の命と健康のために予算を拡大すべきと思います。大臣はいかがお考えですか。お答えください。

福岡国務大臣

東京電力福島第一原発事故によりまして設定されました避難指示区域等に東日本大震災の発災当時居住されていた方を対象として、医療、介護保険の保険料、自己負担の減免措置を実施してきたところでございます。

この措置につきましては、令和三年の第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針におきまして、被保険者間の公平性等の観点から、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行うとされたところです。

これを踏まえまして、被災者の方々の実態を把握している関係自治体の御意見を丁寧にお聞きした上で、十分な経過措置を確保する観点から、避難指示解除から十年程度で特例措置を終了すること、急激な負担増とならないよう激変緩和措置を講じる観点から、複数年かけて段階的に見直すことなどの方針を令和四年に決定したものでございます。

佐原委員

大臣、ありがとうございます。

大臣、福島の現状を御存じでしょうか。こちらのフリップを御覧ください。

東日本大震災では、東日本一都九県が十万人当たりの震災関連死亡者数が八・〇人であるのに対して、福島県は百十五・七人、差は歴然としています。阪神・淡路大震災の十六・七人と比較して、その差は歴然としています。

また、放射線による影響は、年月を経てから症状が表れる晩発性の障害もございます。そして、長期にわたる避難生活による生活習慣、心身へのストレス、それらから慢性的な疾患が増えていることが福島県の健康調査からも報告されています。ですから、一生にわたってフォローするべきだと思うのです

さらには、解除されても、放射線量が高く、帰りたくても帰れない方も多くいらっしゃいます。

医療支援打切りの判断は、どなたが、どのようなチームで決断されましたか。大臣にお尋ねいたします。

福岡国務大臣

この特例措置につきましては、被保険者間の支え合いの下、応分の負担をしていただくことが基本の社会保険にありまして、避難指示区域等に居住されていた方が避難等により保険料や自己負担の支払いが困難となることに配慮し、経済的な支援を目的として行ってきたものでございます。

その中で、避難指示解除後も長期間にわたり減免措置が継続されているところ、被保険者間の公平性の観点も踏まえまして、被災者の生活実態を把握しておられます関係市町村の御意見を丁寧にお聞きした上で見直すこととしたものでございます。

一方で、この特例措置の終了後も、保険料等の支払いが困難な方に対しては、各自治体の判断による減免であったり徴収猶予制度も設けられてございまして、個々の実情に配慮した取組が行われるよう、自治体とも連携して対応してまいりたいと考えております。

佐原委員

大臣、ありがとうございました。

この見直しについては、令和三年三月九日に閣議決定されました。その際に、第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針という文書が出されています。そこには、被保険者間の公平性の観点から、大臣がおっしゃったように、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行うとしています。

被保険者間の公平性とは、具体的に御説明いただけますか。

福岡国務大臣

医療保険であったり介護保険制度は、被保険者全体の相互扶助で支えられている制度でございまして、応分の御負担をいただくことを基本としております。その中でも、避難指示解除後も長期間にわたり減免措置が継続されるとすると、例えば、避難先の自治体において長期間にわたり減免を受けられる避難民の方と、受けられない当該自治体の住民の方との間で不公平感が生じるという課題がございます。

そうした意味で、被保険者間の公平性を確保する観点から、被災者の生活実態を把握しておられる関係市町村の御意見を丁寧にお聞きした上で見直すこととしたものでございます。

佐原委員

ありがとうございました。

しかし、憲法第十四条に示されている法の下の平等は、合理的理由のある差別は認められる相対的平等でなければならないとあります。現行の政府の方針、大臣がおっしゃった方針では、絶対的平等ではないでしょうか。第十四条に反していると思いませんか

平成二十三年、医療費援助の開始時には、入院患者と在宅等療養の患者との間の公平性を図る必要を指摘しつつも、被災者の医療の確保の観点から、厚生労働省は入院時の標準負担を免除しました。

この前例のように、相対的な平等の観点での医療の支援は私は必要と思いますが、福岡大臣も必要だとは思いませんか。

福岡国務大臣

まず、被災地で大変苦しんでおられる方々については、十分その心情については配慮していかなければいけないと思います。

その上で、関係自治体の御意見を丁寧にお聞きした上で、避難指示解除から十年程度の期間を設けて特例措置を終了することであったり、複数年かけて段階的に見直すことなど、また、先ほども申しましたように、その中でも困っていらっしゃる方々につきましては、各自治体の判断による減免徴収猶予制度も引き続きできるということ、そういったことできめ細かに対応していきたいと考えております。

佐原委員

ありがとうございます。

先ほども申し上げましたけれども、放射線障害は晩発性の障害もございます。福島第一原発事故で被災された方とそうでない方の医療の保障を同一線上で考えることはおかしいと思います。

医療支援に当たっては、一世帯当たりの収入が六百万円を超える場合は対象外という条件も加えられました。高収入のため支払いができるからとされていますが、国のエネルギー政策のために被災し、その影響の可能性も否定できないのですから、医療のための費用を自分の収入から捻出させることは公平ではないと思います。

公平性という観点から、福島原発事故で被災された全ての方を対象とすべきではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣

公平性の考え方は、先ほども申しました、避難した先で保険料減免を受けられる方と、そこの当該自治体にお住まいの払っていらっしゃる方、また、そこの当該地域にまたほかの地域から移ってこられた方については保険料が発生しておられますから、そこで減免される方との公平感、そういったものを考慮した上で、ただ、先ほど申しましたように、現場の方の御負担感も感じながら、十年かけて、そして段階的にやっていく、そういった形でやっていきたいということでございます。

佐原委員

福島県では、被曝の影響から県民を守るために継続して健康診査を行っています。これが現場の認識ではないでしょうか。国は現場を見ていないのではないですか。福島の原発事故はなぜ起こったのでしょうか。国策の誤りだと思います。国が責任を持って行うべきではありませんか。能登もそうですよね。国が手を差し伸べるべきことがもっとあるのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

医療費免除のための免除証明書について、今年度で打切りになる方のお宅では、同じ家に住みながら、保険者の処理と、厚生労働省からの自治体等への通達の違いから、有効期限が二月二十八日までの方と三月三十一日までの方がいたり、一か月分の期間修正の手続も被災者自身が行わなければならない、また、そのこと自体が多くの方に周知されていないという状態です。

命、健康を担う機関として業務体制の見直しを徹底するべきだと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

福岡国務大臣

済みません、ちょっと質問の趣旨が十分に理解できなかったんですが、そもそも社会保険というのは相互扶助の中でやっているわけでございまして、その中で御負担をいただく。ただ、先ほど申しましたように、当該地域の事情につきましては、関係自治体と十分御相談、お話をしながら進めてきているということでございます。

佐原委員

ありがとうございます。関係自治体と連絡をしているのは分かりますが、その不手際で様々な障害が生じていて、施行する時期が違っていたり、いわゆるそういう平等性というか、厚生労働省からの自治体への通達というものをもっとしっかりとしていかなければならなのではないかと思うのですよ。

分かりますよ、公平性とか、それはね。だけれども、手順としての、手続上の問題があるということは、やはりそれはしっかりとやっていただきたいなということでございます。

大臣の御地元はたしか佐賀県ですよね。二〇二四年十二月十八日付の佐賀新聞では、佐賀新聞が玄海原発を有する佐賀県で行った世論調査で、原発をゼロにすべきという回答が前年から六・一ポイント上昇と報じられています。このことは、福島原発事故から時間がたっても原発への不安が募っていることを示していると思います。

被災者の方への医療費の減免打切りは、みんなが楽しく暮らせる国を目指すことに逆行していませんか。いま一度、命に関わる支援をお考えの上、継続的で現実的な支援を予算に組み込んでいただけませんか。大臣のお考えをイエスかノーでお答えください。

福岡国務大臣

重ねてのお答えになりますが、十分な期間を設けて当該自治体とも調整の上、行わせていただいているということでございます。

佐原委員

分かりました。

続いて、武藤経済産業大臣にお尋ねします。

日本のエネルギー政策について、石破首相は昨年の総裁選で、原発をゼロに近づけていく最大限の努力をすると述べられましたしかし、今回のエネルギー基本計画で原発回帰に転じてしまいました。原発を最大限活用すると明記しています。それは国民への裏切りとは言えませんか。

国の原発推進政策は、結果として日本の産業育成の偏りを生んできました。かつて世界のトップランナーであった日本の省エネ技術を持つ企業は、外国の企業に追い抜かれていきました。

しかし、今、メイド・イン・ジャパンの変形可能な太陽光パネル、ペロブスカイトがあります。それですと、都心のビル壁面にも装着できます。福島や遠方の北海道、東北、北東北からわざわざ電力を運ばずに、都心で電力の地産地消も可能です。今度こそ、次世代の国産再生エネルギーを技術として世界に貢献できるのではないでしょうか。省エネといいながら自然を破壊するメガソーラーや巨大風力発電よりも、小水力発電や地熱利用など本気で脱原発を考えていただきたいと思うのですが、どうお考えでしょうか。

武藤国務大臣

佐原委員にお答えをさせていただきます。

DXやGXの進展によりまして電力需要の増加が見込まれる、こういうものの中で、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況であります。今委員がおっしゃっていただいたように、ペロブスカイトという、いわゆる太陽光の新しい型もございます。これは、脱炭素電源を確保するため、再エネも原子力も、二項対立ではなくて、共に最大限活用していかなきゃいけないという前提で我々は方針をお示ししたところであります。そういう意味で、原子力についても今日もいろいろ質問をいただきました。いろいろな、様々な御懸念の声があることも真摯に受け止めながら、それぞれの課題にしっかり取り組みながら、丁寧に説明を行いながら原子力も活用していかなきゃいけないと思っております。

安住委員長

 佐原さん、間もなく時間なので、まとめに入ってください。

佐原委員

はい、分かりました。

こちらを御覧いただきたいと思います。

昨年の経済産業委員会で武藤大臣と共有させていただきました、経済産業省のミッション・ビジョン・バリューの言葉です。その提案は、世界に誇れるか。その取組は、国民に誇れるか。その行動は、自分に誇れるか。経済産業省のスタッフの皆さんの声を集めてこの言葉が掲げられたそうです。

しかし、彼らの熱いパッションが何か大きな権力によって潰されていってしまうような私は気がしております。

今はまだ日本の子供たちはエネルギーを選択することはできません。だから、私たち大人が責任を持って選択していかなければならないと思います。

未来に誇れる日本を志している皆さんと、日本の潜在的なパワーを生かし、未来の子供たちに誇れる安心できる日本を一緒につくっていこうではありませんか

間もなく、二〇一一年三月十一日の東日本大震災の日にちが近づいてまいります。この震災で犠牲になられた方々への追悼の意を込めて質問をさせていただきました。

今日は本当に、大臣、ありがとうございました。

YouTubeはこちら↓ご覧ください。

https://www.youtube.com/live/hTz1hkVapOU?si=rROTTp35DOs04yOw