{国会報告}2025/3/19 誰も責任とらない原発はいらない!

衆議院 経済産業委員会

宮﨑委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子でございます。よろしくお願いいたします。武藤大臣の所信演説を伺いまして、質問させていただきます。トランプ政権による関税問題、それから、国内外半導体産業のまた再編成、大変お疲れさまでございます。御心労大変なことと思いますが、質問させていただきます。今まで国民は幾つかの神話をもたらされてきました。いわく、原発の安全神話、国債は国民の借金であるという神話。そして、今また、データセンターや生成AIの拡大によって電力需要が急増するので原子力発電が必要だという議論。そして、それが議論なのか、本当にあるいは新たな神話であるのか、具体的なデータをお示しいただきたいと思います。お願いいたします。

武藤国務大臣 佐原委員にお答えをさせていただきます。今、DXの、あるいはGXの進展等に伴ういわゆる電力の需要見通しについて御質問いただきましたけれども、いわゆる、いろいろな開発をされていくと、これは省エネ効果というのも絶大な効果をもたらされます。

ですから、将来の電力需要については、省力もあるんですけれども、やはり使われる方が多くなるだろうということでの増加する可能性が高くなっておりまして、二〇四〇年度エネルギーミックスにおいては、二〇四〇年度の温室効果ガス七三%削減といった野心的な目標と整合すること等を考慮しながら、将来からバックキャストする考え方の下で、一定の技術進展が実現することを前提としながら、将来のエネルギー需給の姿をお示ししているところであります。その中で発電電力量でありますけれども、二〇二三年度の約九千八百五十四億キロワットアワーから、二〇四〇年度には一・一兆から一・二兆キロワットアワーと約一割から二割増加する見通しであります。その際、電源構成に占める原子力の割合はちなみに二割程度ということになることを見通ししているところであります。

佐原委員大臣 ありがとうございました。福島第一原発はレベル7の過酷事故を起こしました。経済は、プライマリーバランスに縛られた緊縮財政のため、失われた三十年をつくり出し、ジャパン・アズ・ナンバーワンから転落し、ロストジェネレーションをつくり出しました。データセンターなどの電力需要の急増に伴う原子力発電が不可欠だという神話に基づいて原発の再稼働、新増設に邁進したとき、それが正しいことであるかどうか不安でならないのです。大臣はどのようにお考えですか。

次に、エネルギー問題に関してお尋ねします。福島第一原発事故以降に一旦はなくす方向だった原発を再び活用する方針が第七次エネルギー基本計画に示されました。事故で被災された方々の多くが、今もふるさとに帰れず、ふるさとが分断され、健康の不安を抱え、なりわいを絶たれ、かつての暮らしを取り戻せずにいます。原発の周辺地域だけでなく、その被害は広範で、一次産業の販路も減少し、長年にわたる経済的な打撃ももたらしています。原発の廃棄物処理、廃炉の問題も解決していません。レベル7の過酷事故はいまだに収束していません。企業の経営陣は責任を問われず、小児甲状腺がんに罹患した子供たちの問題は置き去りにされたままです。様々な問題が解決されずにいるのに、原発を推進していくことが本当によいことなのでしょうか。原発ありきの前提条件に縛られず、エネルギー需給と省エネ、自然エネルギーを総合的に検証して、本気でCO2削減、気候温暖化に対処していくときではないでしょうか。一方、大臣の所信で、ペロブスカイト太陽光パネルや中小水力発電といった自然エネルギーも注目していらっしゃいました。経済産業省の優秀なスタッフや小水力発電を活用している方からも詳しく伺いましたが、環境に優しく、私も大賛成です。また、それらは地方活性化に寄与すると思うのです。

原発は、確かに多くの企業が参加し、多岐にわたるベネフィットがあります。しかし、小水力発電など自然エネルギーは、採算が取れないといって大企業は参入しません。しかし、そうではありますが、地方にとっては、中小企業が参入しやすく、地方の活性化が考えられます。今、蓄電池や、地方から都市部への送配電網も順次拡大しているとのこと。小水力発電は、規模や設置場所の特性から、地域社会の活性化の視点を持って支援を進めてほしいと思いますが、お願いできますか。ペロブスカイト太陽光電池は、ビル壁面にも装着でき、都市部での電力の地産地消、再エネ導入拡大に寄与できると期待できます。政府を挙げて連携し、推進、応援すべきことと思いますが、政府はどのように取り組んでいらっしゃいますか。大臣、御教示ください。

久米政府参考人 まず、原子力政策についての御質問についてお答え申し上げます。まず、福島復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉、これは経済産業省の最重要課題でございます。復興が成し遂げられるその日まで、国が前面に立って全力を尽くして取り組むという意思に変わりはございません。東京電力福島第一原発事故の経験、反省と教訓をひとときも忘れることなく取り組むということがエネルギー政策の原点でございます。その上で、DXやGXの進展により電力需要増加が見込まれる中、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況でございます。低いエネルギー自給率や火力発電への高い依存といった課題を克服する観点で、脱炭素電源の確保が求められております。第七次エネルギー基本計画では、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、必要な脱炭素電源を確保するため、再エネと原子力について、二項対立ではなく、共に最大限活用していく方針をお示ししたところでございます。一方で、原子力に対する様々な御懸念の声があることは承知をしてございます。これを真摯に受け止め、それぞれの課題にしっかり取り組みながら、丁寧に説明を行い、原子力を活用してまいりたいというふうに考えてございます。

佐原委員 しかし、やはり、原発ありきの発想から離れて、もう一度検証していく必要があるのではないかなと私は思います。次に、地域のイノベーション、エンタメ、コンテンツ産業育成について伺います。イノベーションの創出、エンタメ、コンテンツ育成を、エネルギー対策にも挙げられている自然エネルギーの促進、被災地復興にも連動できないかと思うのです。特に、経済産業省でも用途を模索中ということですが、NFT、ノンファンジブルトークンを使って地域の魅力を発信し、収益も得る。地域の自然エネルギー発電の電力をNFTにすることも、あるいは地域の文化などのコンテンツに合体させることもできます。まさにクールジャパンを打ち出しているメリットがあると思います。日本の若者たちの得意分野ではないでしょうか。海外からの旅行をする人たちが日本食で一番おいしいのは何ですかと聞かれたときに、カツ丼と言う人が結構多いんだそうです。そういったところもNFTに入れて紹介していくということもできると思います。地方から都市部への送電プロジェクトも順次進んでいますので、地方の電力をNFTで販売し、自然エネルギー利用、環境保全という行為そのものが価値としてNFTで転売できます。そして、転売されるごとに発電者にインセンティブが入ります。例えば、長良川の水流で発電した電力に大臣の御挨拶動画を合わせてNFTにすることもできます。売れそうです。私は買います。また、災害で変わってしまった、あるいは戻ることができないコミュニティーの文化や風景も同様に世界に発信できます。アカウントさえあればSNSに写真を上げるのと同じくらい簡単ですが、ただ、このアカウントを作るのが面倒です。その辺りはしっかりサポートする体制をつくり、誰でもどこでも活用につなげられればいいと思います。必要な支援を積極的にしてくださいませんか、大臣。

武藤国務大臣 済みません、長良川と私の郷土のすばらしい山紫水明のところを御紹介いただきましてありがとうございます。NFTについて、これは電気との関係ということで御質問をいただいているということで御承知をしているところですが、大変面白いところをまた御紹介いただきましてありがとうございます。電気につきましては、需要家に再エネ電気を販売する際に、委員御指摘のNETを始めとしたブロックチェーン技術を活用し、再エネ電気が生み出された発電所の場所ですとか、また発電された時間等の情報を付与する取組が一部の民間事業において行われているものと承知をしているところであります。これは、電気の需要家の多様なニーズに対応して再エネ電気を供給しようとする大変興味深い試みであるということを認識しているところであります。経済産業省として、様々な取引においてNFTの活用可能性を広げるため、NFTを活用した商取引についての実務上の留意点であるとか、NFT活用のメリットを検証する実証事業などを進めてきたところであります。今後とも、再エネ電気の取引実態や需要家のニーズ、またブロックチェーン技術の動向等をよく注視しながら、必要な対応を検討してまいりたいと思っております。

佐原委員 ありがとうございました。グリーンエネルギーを使いたいという企業もたくさんあるんですよね。そのことが企業イメージにもつながりますので、これからどんどん広がっていくのではないかと思いますが、先ほども申し上げましたように、アカウントを作るのが大変なので、そういう場所というか、省庁などが出向して市役所などにそういう場所をつくっていただけるといいなと思います。具体的なそういう支援を是非考えていただきたいと思います。

被災地の支援についてお伺いいたします。能登半島の被災地の救済対策、なりわいの再建への支援は、現地の現場の皆さんの声をしっかり聞き取り、地域のコミュニティー存続を尊重し、全省庁連携して行ってほしいところです。これは能登に限らず、これまでも今後も被災地の再建においてやっていただきたい。例えば、輪島市の方のお話ですが、被災して職場も家も倒壊し、一旦輪島の会社を退社し、輪島を離れて金沢の親戚の家に避難しました、自己都合で会社を辞めると、失業保険の給付制限が二か月、来年度からは一か月あります、輪島に帰ってやり直そうとしても、仕事がないので帰る決心がつかない、すぐに失業保険がもらえるなら、まずは帰ろうと思えた。境遇は人それぞれですが、ふるさとに戻って働きたい人をしっかり支援してください。失業保険は厚労省の管轄と思うんですが、是非武藤大臣から働きかけて、省庁連携してやっていただきたいなと思います。なりわいを再開させる支援を受けるとしても、そのほかに、保険のこと、損壊した家の手続など、手続を必要とすることがたくさんあります。所管が違うから、毎回書類や資料集めに記入、提出と走り回って疲弊してしまう、結局諦めてしまうとか、どれを欠いてもなりわいの再スタートをすることができない、こういう経験談はほかの被災地でもありました。単体ではなく、生活をトータルに立て直すという視点で支援するべきではないでしょうか。経験を無にすることなく、関連する省庁としっかり連携して、もっと分かりやすく、やりやすい支援というものをしていただきたいと思うんです。被災地の負担を支援するシステムを構築していただけますか。失われた人生を再び取り戻すための支援は国の責務だとお思いになりませんか。御質問します。どうでしょうか。

武藤国務大臣 能登の案件につきましては、大変、そういう意味では、石破総理中心に、今おっしゃったような、私ども経産省だけではなくて、厚労省だったり国交省だったり、復興庁も含めて、様々な役所が横の連携を密にしながらこれは対応していかなきゃいけない話です。参議院の方でもよく御党の代表からも御質問いただいておりますけれども、しっかり対応させていただきたいと思います。経産省としての御答弁も用意させていただいておりますけれども、一年を能登半島地震から過ぎたところでありまして、被災事業者の皆様の置かれた状況は様々であります。早期に支援施策を活用しながら復旧された方がいる一方で、引き続き、インフラですとか町づくりなどの状況を踏まえ、再建を検討されている方々も多くいらっしゃるのも認識しておるところです。経済産業省といたしましては、昨年度の予備費、また今年度の補正予算にて各種支援策を措置してまいりました。例えば、本格復興に向け、中小企業等の施設等の復旧を支援する、特になりわい補助金とよく言われているものですけれども、現在、九百八十七件の交付決定を行ったところです。また、被災した小規模事業者の販路再開のために持続化補助金というものがありますけれども、二千二百七十件を採択させていただいたところです。引き続き、こうした支援策等も活用しながら、被災者に寄り添いながら、各省とも連携をしながら、能登地域の復興に全力で取り組んでまいります。

佐原委員 ありがとうございました。すばらしい御答弁をいただきまして安心いたしました。ありがとうございます。

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