
○江渡委員長 次に、佐原若子君。
○佐原委員
座って話をさせていただきます。失礼いたします。れいわ新選組、佐原若子でございます。
本日は、アドバイザリー・ボードの諸先生方とお話をする機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
私は、青森県出身で、核燃阻止一万人訴訟原告団の原告を四十年ずっと続けております。そして、昨日、おとといでしたかね、経産省の方々ともお話をしたときに、いつもお話は平行線なんですよね。ゴールが違うから当然のことなんですけれども、でも、やはり、共にどこか歩んでいかなければこの問題は絶対に解決しないし、多分日本人の感覚としては、実は、ノット・イン・マイ・バックヤード、自分のところになきゃいいやというふうに思っていることがほとんどだと思うんですね。だけれども、福島原発事故が起きて、それは本当は人ごとではないんだということをお気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。
このことを大事に、再処理に関しても、国民的な議論と、そしてお話をして、相互理解が絶対に必要なことで、今日御提案いただいた国会での働きとかそういったものが重要視されると私も思います。ありがとうございました。
私はラ・アーグに行ったときに、グリーンピースと一緒に行ったんですけれども、そのときに、怒れる母たちというお母さん方が、ここの子供たちが白血病になったのはあなたたち日本人のせいだからねと言われたんですよ、そのことは私は忘れられません。
そしてまた、私は歯医者でして、小児歯科をちょっと勉強して、今はインプラントをやっております。そのとき、ガーディアンという雑誌に、セラフィールドの近くの子供たちの、矯正治療のために抜歯した第一小臼歯からプルトニウムが出たという記事がございました。濃度は、そのセラフィールドの再処理工場に向かってだんだん濃くなっていく。濃くなっているといっても、もちろん企業も、科学者たちは分かりませんが、影響はありませんよということでした。
でも、私はびっくりしたんですね。第一小臼歯というのは、赤ちゃんになる前の、胎生の三週に既に、外胚葉性に乳歯の芽が、歯胚ができています。その下にまた永久歯の歯胚が、ほんのちっちゃな歯胚があるんですね。ということは、小さいときからそれにプルトニウムが入ってきたということですよ。胎盤も通しちゃったということですよね。プルトニウムというのは人類にとって新しい物質です。だけれども、母親は鉄分を取らなきゃいけないから、何か似たものがあったらきっと取り込んでしまうんだと思うんですよね。
だから、私は、青森県のいろいろ問題があります。鈴木先生にお伺いしようと思ったんですけれども、今度、再処理のことはまたやるよとおっしゃってくださったので。ただ、みんな、その再処理というものが、核反応のない、割と安全なところなんだろうなというふうな認識が青森県民にもあるのかもしれません。余り大きな運動にはならなかったんですね。
だけれども、私は孫が五人おりまして、青森県に三人住んでおります。なので、いや、これは絶対に再処理だけはしてほしくない、なぜ日本はワンススルーというのを取らなかったのだろうと。廃棄物を本当に考えたら、再処理は核燃組織の中でも一番ダーティーな場所だというふうに言われています。
そしてまた、二〇〇六年にアクティブ試験もしました。高木仁三郎先生が、大丈夫だよ、日本の官僚は優秀だから、再処理を動かすなんてことはないよと言ってお亡くなりになったんですけれども、あれっと思いまして、動かしたじゃないかというふうに思いました。でも、多分、人間というのは、つくったらやってみたくなるものだと思うんですね。
鈴木先生にお伺いします。
イギリスでは、今年二月、保有する民生用のプルトニウムを廃棄物として地中に埋め、廃棄する方針を発表したんですけれども、先生は、朝日新聞の取材に対して、イギリスのこの判断を評価されていると認識しています。
イギリスの状況も踏まえて、青森県六ケ所村で長期保管され続けるプルトニウムをどうすべきか、先生の御見解をお聞かせいただきたい、再処理のときにまたお答えいただいてもいいので、どういたしましょうか。
それでは、イギリスにある日本のプルトニウムは日本に戻すべきか、イギリスに有償で引き取ってもらうか、どうすべきだとお思いかもお伺いしたいんです。
○鈴木参考人
ありがとうございます。
今あるプルトニウムを減らしていくということは日本政府も決定していますので、これは大事な政策であって、これは今後の再処理いかんにかかわらず必要なことだと思います。
イギリスの今回の処分の決定を見ますと、実は長い間議論してきまして、当初はMOX燃料にして処分するということが望ましいという案があったんですけれども、いろいろ更に検討を続けた結果、直接処分の方が望ましいと。これは安全性の面と経済性の面と核セキュリティーの面でいろいろ検討した結果だというふうに報告書には書いてありますので。
同じことが日本にも言えると思いますが、先ほど申しましたように、日本ではプルトニウムは地層処分できないんですね、法律上。したがって、先ほど申しましたように、高レベル廃棄物処分法を改正してプルトニウムも処分できるようにしないと、選択肢に乗ってこない。したがって、今の経産省や電力会社の選択肢としてはもう利用するしかないんですね、MOX利用に。ただ、MOXで利用しても、使用済MOX燃料がまた残ってしまいます。これをどうするかも決まっていない。
ということで、私の意見としては、まず、高レベル廃棄物処分法の中にプルトニウムも処分できるようにすれば、今ある既存のプルトニウムの処分についても選択肢が広がる。それで検討すればいい。今イギリスにあるものについては、合理的に考えれば、イギリスに頼んで処分してもらうのが一番合理的だと思いますが、これも、プルトニウムは資源だから利用するという原則に従うとなかなか難しいというのが現状ですので、ずっと全部つながっていますので、選択肢を広げるという意味でも、今の高レベル廃棄物処分法を改正してプルトニウムも処分できるようにするのがいいのではないかと思います。
○佐原委員
ありがとうございます。
ということは、やはり法律をきちんと整備しなければいけないということになりますよね。私たちも勉強してちゃんとやっていきたいと思っております。ありがとうございます。
では次に、大島先生にお伺いしたいんですけれども、日本原燃の青森の核燃料サイクル施設は、当初の計画からの変更や遅れがございます。建設費について日本原燃さんにお尋ねしたところ、再処理工場の当初予算は七千六百億円、昨年八月二十四日時点での実際の費用は二兆千九百三十億円、MOX燃料工場の当初予算は千二百億円、昨年八月二十四日での実際の費用は六千億円ということでした。
経済合理性の視点から、青森の核燃料サイクル施設の在り方をどうお考えになりますか。教えていただきたいと思います。
○大島参考人
端的に申し上げますと、核燃料サイクルは、経済的には最も不合理というか、高いことになります。核燃料にした場合の単価は十倍とか十五倍とかぐらいになってしまいますので、経済的にはほとんど何の意味もないということになります。
あと、不測費用といいますか、これから、その試算された費用も、何らかの遅延が起こったりトラブルが起こったりすることは当然あって、今あと物価高もありますので、上がっていくということは十分考えられます。これは、ほかの原子力発電所の新設についても同じことが言えて、不測費用として一〇%から一五%を見ておかなければいけないというようになっているわけですから、今言われている、核燃料サイクルのコストは上がり続ける、下がることはないというふうに言えると思います。
あと、原子力の発電所自体が少なくなっている、稼働が少なくなっているので、使用済核燃料の量の限界も来ています。というわけなので、六ケ所再処理工場が想定している、稼働期間に想定している核燃料がもう得られないということになるわけですね。そうなると、単価が上がってくるわけです。ですので、ますます総費用の面でも、単価の面でもどんどん経済性がなくなってきていて、経済的な観点からすると、ほぼ無意味、全く無意味だというふうに思います。
以上です。
○佐原委員
ありがとうございました。
経済的な合理性はないということですね。ありがとうございます。
近藤先生にお伺いしたいと思います。
青森県六ケ所村の一時貯蔵施設に高レベル放射性廃棄物が最初に搬入されてから、三十年になります。
国、県、村、事業者の日本原燃の協定では、貯蔵期間は五十年という約束です。最終処分場は、これから調査や工場建設という工程があります。あと二十年でどうなるか、整合性はあるのか、御見解をお聞かせください。済みません、これを午前中にお伺いしたのでまたダブりますが、簡単にまたお答えいただいてもよろしいでしょうか。
○近藤参考人
おっしゃるとおり、あと二十年で処分場ができるか、見つかるかというと、なかなか難しいと思っています。
ですから、これは、二十年というお約束をしたわけですから、それを守るべく最大限の努力をしているということだけはきちんと青森県の方に御理解いただけるような努力を懸命にやらなきゃならないというふうに理解していますが、いずれ、その議論については、再処理工場が動きますとガラス固化体は新しくどんどん毎年出てくるわけですから、このガラス固化体は持っていってくれという話はなかなか余り合理性がないわけで、そこのところは、実際にこれからの事態の進展に応じて協議、合意していくのが合理的だというふうに私は考えております。
○佐原委員
ありがとうございました。
先生、また、高レベルの廃液もございます。東海村にもありますけれども、その廃液に関してはどのようにお考えでしょうか。済みません、通告になくてごめんなさい。
○近藤参考人
済みません。
廃液をガラス溶融炉で溶かし込んで、ガラスと混ぜてガラス固化体にするわけです。それは、いずれ東海村にあるものについてもそのような処理をすることにして今やっていると思います。ですから、廃液は中間的な存在であって、それを最終的にガラス固化体という姿にして処分をするということでございます。
○佐原委員
ありがとうございます。
ということは、廃液のままでは置いておかないということですね。必ず固化するということ。分かりました。ありがとうございます。
あと五分あるので、ちょっとだけお話をさせていただきます。
ラ・アーグに行ったときに、まだそのときはコジェマだったかアレバだったか忘れましたけれども、再処理工場の隣に、ANDRAという、低レベル廃棄物の処分場があるんですよね。そこに入りまして、トリチウムを計測する機械がありまして、常時計測をしているんです、地下水とか雨水のこととかで。そうして、例えばトリチウムの異常値が出ますと、多分これは再処理工場なんだよ、ここにはそんな問題はないんだ、今までと。再処理工場にもしもしと電話をして、すごい数値が出ているぞ、何かあるから気をつけろみたいな。そうしたら、例えばHEPAフィルターが飛んでしまっているとか、様々なことがあるんだそうです。
日本の場合には、そういった整備というのがないような、ヒューマンファクターというものが物すごくあるような気がするんですね。JCOにしても、実は法律では形状管理がされていて絶対に起きない事故であったけれども、それを無視してやってしまう。あれは、「常陽」かどこかの核燃料を早く作れという指示があってやったというような、そういうヒューマンファクターとして、彼らを責めることはできないと思いますよね。彼らは犠牲者です。大変な思いをしてやっていらっしゃる方に、六ケ所でもバルブを間違ってやってしまったとかということがあります。
ですから、ちゃんとした色分けとか配置とか、そういったものが、六ケ所再処理工場は、レッドセルもあって入ることができませんし、いわゆる耐震補強もできませんから、それを位置を変えるとかということも難しいことだと思うんですけれども、先生はどのようにお考えになりますか。どなたでもと言うと失礼な言い方ですが、近藤先生、お願いします。
○近藤参考人
御質問の趣旨は、再処理工場が環境に放出する物質、もちろんあれは、トリチウムについては放出することになっているわけですが、ですから、それは規定を超えて放出するとかしないとか、あるいは、おっしゃるように、ほかの様々な廃棄物についても同じようにきちんと管理されているわけですが、そのきちんとした管理が確実になされるかどうかということについて御不安があるということをおっしゃっておられると思うんですけれども、その不安については、当事者が、きちんとした測定システムとそれから管理システムについて、地域社会の皆さんに、このとおりやりますということを説明して御理解をいただくというプロセスが最も重要だというふうに思っておりまして、その努力は確実に進めるようにというふうに、日頃、彼らにも申し上げているところでございます。
○佐原委員
ありがとうございました。
あと二分ほどになりましたので、今日は、諸先生のお話を聞きまして、本当にこれからまだやることはあるぞと。いつも平行線で、私は何か胸が苦しくなるんですね、この核燃の話をすると。だけれども、私、このために、再処理はやらせないぞ、そういうつもりで国会に来たんです。ですから、どうかワンススルーということをもう一度、国民的な議論として盛り上げて、お願いできるように、もし原発を進めるのであればですが。ということで、質問を終わらせていただきます。
本日は、本当にありがとうございました。
Youtubeはコチラからご覧ください>>