

○宮﨑委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。佐原若子君。
○佐原委員
れいわ新選組、佐原若子です。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、お昼に「賛否両論」というお弁当をいただきまして、まさしく、GX法案、賛否両論と思いまして、これは何か示唆的だなと思いまして、ありがとうございます。おいしかったです。
今年、私は、ゴールデンウィークに弘前に帰ってまいりました。そして、本当に豪雪で、リンゴの木の枝が長いんですけれども、雪の重みで、幹が、生木が裂けるように、わっとなって割れているとか、惨たんたる状態なんですよ。今年はリンゴの収量は最悪になるだろうというふうに言われています。
その豪雪というのは、農水の時も言ったんですけれども、海の海水温が上がっているというのが一つの問題なんだそうです、蒸気として上がっていって。
武藤大臣、お風呂の温度は何度ぐらいでお入りに?
○武藤国務大臣
適温ですね。体温よりちょっと若干高めの方がよろしいかと思います。
(佐原委員「なるほど、四十二、三度」と呼ぶ)
いや、そこまでいかないです。
○佐原委員
ぬるめがお好きとお見受けいたしましたが。済みません。これは雑談ではなくて、本当は。
百万キロワットの原発を動かすときに、二百万キロワットのエネルギーを海に捨てているんですね。
一秒間に七十トンの海水を七度C上昇させて海に排出しているんですよ。
なので、これは通告なしなんですけれども、済みません、雑談です。
それで、そのことで、大臣の適温に七度C上げたらどうでしょうか。かなりな衝撃ではないでしょうか。
ヒートショックとか、そういうこともあるしと思いますね。肉体に対しても、七度C上げるということは大変なことだと思うんですよ。
日本近海は海産物の宝庫であります。日本海の温度上昇は非常に高いということが言われています。そして、その温められた海水に溶け込んだ二酸化炭素が、そこからお空に向かっていくわけですね。なので、いつも申し訳ないんですけれども、原発からCO2が出ないというのは、発電時は・・ということで、そのほかの時にはそれなりのCO2を出すということの御認識をいただきたいなと思いまして、こんなお話をいたしました。ずるいですよね、済みません。
では、GX推進機構についてお尋ねいたします。
GX推進機構が創設された翌月、二〇二四年八月九日公表されたGX推進機構に関する日本総研の分析では、経産大臣あるいは理事長の許認可で業務は遂行されるが、資金の使途、検証の不十分さ、ガバナンスへの疑問など問題は多いという指摘がなされています。ここで問題として挙げられた資金の使途、検証体制と過程、方法、ガバナンス対策について御説明をいただけますでしょうか。お願いいたします。
○武藤国務大臣
御質問いただきました。
リンゴが今年よく実るように祈っておりますので。
御指摘のレポートでありますけれども、昨年の七月にGX推進機構が業務を開始しました直後に出されたものであります。その後、機構のガバナンス体制について、レポートで御指摘を受けた点も含めて着実に整ってきているものと認識をしているところであります。
GX推進機構の資金の使途の明確化については、昨年の八月にGX推進機構が金融支援業務を行う際に従うべき基準というものを定めました。政府方針に整合すること、民間が取り切れないリスクを補完するものであること等を規定したところであります。また、本基準に従いまして支援が行われているか、毎年、活動報告というものを公表していくことになります。
外部検証を含めたガバナンスの強化につきましては、四半期に一回、外部有識者が過半数を占める運営委員会を開催をし、そして機構の運営を監督しているところであります。
中長期的な損失の回避につきましては、支援案件について、一定規模以下のものを除き、経済産業大臣のチェックを都度受けることが法律上定められておりますけれども、それに加えて、政府として、支援基準の遵守状況等について随時監査を行うこととしているところです。
こうした取組を通じながら、GX推進機構のガバナンス、また透明性を確保してまいりたいというふうに思っております。
○佐原委員
ありがとうございました。分かりました。
次に、二〇二六年に開始予定の排出量取引における排出量の割当ては、基本的にベンチマーク方式、そして、ベンチマークの設定が難しい分野の事業者に対してはグランドファザリング方式を適用するとしています。グランドファザリング方式は実績ベースなので、実際、無制限ということになりませんか。お伺いいたします。
○龍崎政府参考人
お答え申し上げます。
グランドファザリング方式は、基準となる年度の排出量に一定の削減率を乗じて割当て量を決定するものであります。企業の排出実績を算定の基礎といたしますけれども、削減率を乗じることで年々削減を求めていくものでありまして、諸外国でも排出削減の一つの手法として用いられておりまして、割当てが無制限になるとか、削減が進まないということではないと思ってございます。
加えて、この基準となる排出量については、制度開始直前の三か年度の平均値を用いることを想定してございまして、基準となる排出量を企業が恣意的に過大なもの、有利なものに操作することはできない、困難であるということから、その意味でも無制限の割当てが生じるものではございません。
その上でですけれども、具体的な削減率につきましては、産業構造審議会の意見も聞いて決定することとしておりまして、ここには、環境経済学とか産業政策、それから金融分野などの技術的、専門的な知見も議論に反映させていきたいと思ってございます。
我が国の排出削減、それから経済成長の両立に実効的な制度となるように、今後、制度設計の詳細についてしっかりと検討を深めていきたいと思ってございます。
○佐原委員
ありがとうございました。
次に、分野ごとのベンチマーク式の場合、各分野からロビー活動はありませんか。
○龍崎政府参考人
ベンチマーク方式でございますけれども、業種ごとに各社の排出原単位を比較しまして目指すべき水準を定めることで、同一業種内で業種特性に応じた取組を促すものでございます。
まず、事業所管省庁におきまして、ベンチマーク対象となる事業活動を特定いたしますけれども、その上で、ベンチマークの水準、つまり、制度開始から何年目には、各業界内の上位何%の排出原単位の水準で各社に割り当てる、こういったことにつきましては、これは、業種を超えて、各業種共通のものとして設定することとしてございます。
つまり、業種により、取り組むべき技術的課題、解決できるまでの時間軸、それから置かれた競争環境などの業種特性は、これは異なりますので、各社をまずは同一業種内で相対的に位置づけますけれども、その上で、達成すべき水準につきましては、異なる業種間でもその難度が公平になるように検討していきたい、こう思ってございます。
さらに、こうした水準の決定は、先ほども御説明したとおり、恣意性を排除し透明性を確保して行う必要があること、また、各業種の特性を客観的に確認しつつ、脱炭素技術の導入状況、足下の競争力に与える影響など、これらにつきましては総合的、横断的に勘案して決定する必要があることなどから、産業構造審議会で専門的知見を持つ有識者の意見を丁寧に聞いた上で決定をしていきたいと思ってございます。
こうした取組を通じまして、産業界とは丁寧に議論をしつつも、特定の業種や事業者の働きかけ、ロビー活動などで制度の実施が影響を受けることがないよう、公平性、透明性を担保した形で進めてまいりたいと思ってございます。
○佐原委員
ありがとうございました。
透明性を確保するということで、よろしくお願いいたします。
次に、どの分野がグランドファザリング方式か、明確になっていますか。
○龍崎政府参考人
排出枠の割当てにつきましては、業種別のベンチマークに基づいて割当て量を決定することを基本としてございますけれども、ベンチマークの対象事業活動は当該事業を所管する省庁において指定していくことが先ほども申し上げたとおり法律上規定されておりまして、基本的に、事業者への影響が大きく、業種特性を考慮する必要性の高い、排出量の多い業種などを中心に採用する方針でございます。
このベンチマークの策定に当たりましては、先ほども御説明したとおり、複数社の生産プロセスを客観的、相対的に比較した上で目指すべき水準を決定することが必要でございますので、例えばですけれども、ある業種に属する事業者数が限定的であるような場合、それから、ある社が同一設備で他業種の製品を同時に生産している場合、こうした場合におきましては、業種内の各社の生産プロセスを公平に比較することが難しいということになりますので、ベンチマークの策定が技術的に困難になります。したがいまして、こうしたケースではグランドファザリング方式を採用することが想定されるということでございます。
その上で、これらの方式の詳細設計及びどの業種を対象にするかにつきましては、今後、所管省庁において有識者や産業界とも丁寧に議論した上で産業構造審議会の意見も聞きつつ決定をしてまいりたい、こう思ってございます。
○佐原委員
ありがとうございました。
前回の審議で、大企業の脱炭素の取組が中小企業にも波及することを想定しているという議論があったと記憶しております。
先ほど田嶋先生もおっしゃっていたクリーニング屋さんの排熱とかそういったことに対して、日本の企業、九七%以上が中小零細企業です。そういった人たちが、中小企業が排出削減に取り組むためには、負担も増えることになります。中小企業への省エネ支援も必要と考えますが、中小企業に対する省エネの財政支援はありますか。
○伊藤政府参考人
お答え申し上げます。
委員御指摘いただきましたとおり、省エネは、エネルギー危機に強い経済社会構造への転換を進めていくため重要な取組でございまして、GXの実現に向けて、特に中小企業にとりましては、その第一歩の取組は省エネであると認識してございます。
そのため、政府としまして、中小企業も含めた企業向けの省エネ支援を強力に進めているところでございます。
具体的には、令和六年度補正、令和七年度当初予算におきまして、事業者の省エネ設備への更新や中小企業に専門家が助言する省エネ診断への支援に、新規採択分の予算として約六百四十億円を計上しているところでございます。
特に、今回の支援策に当たりまして、省エネ設備への更新支援において、中小企業向けに求める省エネ率の要件を見直すなど、中小企業にとっての使い勝手を改善させていただいているほか、省エネ診断の支援におきまして、測定機器によって設備、プロセスごとのエネルギー使用状況を見える化し、省エネの提案を行う、いわゆるIT診断の支援メニューを追加したところでございます。また、支援策を通じた省エネの好事例の横展開を図っていただけるよう、事例集を作成しまして、広く公表、周知を行っているところでございます。
こうした取組もしっかり活用しながら、中小企業を始めとする事業者の徹底した省エネを促進してまいりたいと存じます。
○佐原委員
ありがとうございました。
省エネを重要視しているという点が分かりました。
企業への支援のほか、住宅やそのほかの様々な支援を考えていらっしゃいますか。
○伊藤政府参考人
お答え申し上げます。
いわゆる中小企業向けの支援以外に、徹底した省エネを進めるため、国土交通省また環境省とも連携をいたしまして、住宅の省エネ支援を強力に進めているところでございます。
具体的には、令和六年度補正、令和七年度当初予算におきまして、ゼロエネルギーハウス、いわゆるZEH水準の省エネ性能を有する住宅の新築への支援を行うとともに、高効率給湯器の導入、また断熱窓への改修等の支援を行っているところでございます。また加えて、今回から、ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を有する住宅への支援も新たに措置をいたしました。
これら支援策の合計の予算規模といたしまして、前年の令和五年度補正、令和六年度当初におきましては約四千六百億円、今回の令和六年度補正、令和七年度当初におきましては約四千五百億円の予算を計上しているところでございまして、同規模の支援をしっかり継続しているところでございます。
加えまして、住宅以外の支援としまして、省エネの技術開発また社会実装に向けた支援策を講じているほか、運輸部門におけるトラック輸送の省エネ化推進事業などにも取り組んでいるところでございます。
こうした取組を活用しながら、引き続き、各部門における徹底した省エネの取組をしっかりと推進してまいりたいと存じます。
○佐原委員
ありがとうございました。
いろいろな分野に省エネの政策を進めているということが分かりました。ありがとうございます。
私は、議員になって初めてここで質問させていただいたときに、経産委員の、ホームページのミッション・ビジョン・バリューズというもののお話をさせていただきました。すばらしい信念に燃えている若者がいる、私は本当にうれしくなりました。
かつて、二十年ほど前ですが、経産省の中堅の官僚たちが十九兆円の請求書というものを出したことがございました。それには、結局その当時十九兆円もかかっていた再処理事業、核燃料サイクル事業が無駄である、税金の無駄である、国民に税金を返せみたいな、そういうすばらしいレポートを出したんですね。私はずっと、もう四十年以上核燃の裁判に携わっているので、わあすごいな、こういう人たちもいるんだ、この人たちは侍だなと思ったんですよ。結局、自分のキャリアをかけて、なげうって、こういう発表をしたんだよなと。でも、NHKも取り上げてはくれませんでしたね。だけれども、私はそのミッション・バリューズを見たときに、本当は経産省の方々も、いろいろ心の底には思っていることがたくさんあると思うんですね。
私は、先ほど、議員の方が悪魔と呼ぶのは失礼だというふうにおっしゃっていたので、もしそのように捉えたのであれば、私の不徳の致すところでございまして、申し訳ございませんでした。決して悪魔は人間ではありませんから、悪魔のささやきは聞くことはできるかもしれませんが、悪魔ではありません。日々、日本のためを思って、みんな同じだと思うんですね、日本がこれから先どうやっていくのかということを考えて、いろいろ携わっているんだと思うんですよ。
でも、今、分岐点にあると思うんですよ。原発を推進していってそれをGX法案の中に組み込んでいく未来を取るのか、あるいは、原発ではなくて、本当に再エネとそれから省エネ技術の推進に向かって、企業の、ジャパン・アズ・ナンバーワンを目指すのか、そういう時代の岐路に今立っていると思うんですよ。その分岐点において、私は、いろいろなお考えがある、頭脳明晰な若者たちの意見を聞きたいし、発表してほしいと思うんですよ。
そういったときに、でも、前回の二十年前の霞が関の英雄六人は守られなかったと思うんですよ。そのとき、私たちは国民の負託を受けて議員になっているわけですから、そういうことがあったら守らなければいけないと思うんです。そういう体制が私たちにはなかった。だから、今私たちはそういった体制をもう一度考え直して、私たちが守っていかなければならない、私たちも議員の立場を懸けてやらなければならない。
なぜなら、国民の未来のためだからです。この後に続く小さな子供たち、子供たちには今エネルギー政策を選ぶ資格は、権利もございません。なので、私たちがそれをしていかなければならないと思うんですね。
ですから、ミッション・バリューズを私は見たときに、そうだよなと。私は、何というんですか、この人たちは侍だなと思ったんですよ。日本の中のすばらしいものを見つけていくんだ、それを糧にして前に進んでいくんだと。この日本を愛しているからこその言葉だし、ホームページに載っけた意気込みだったと思うんですね。
ですから、私は、このGX法案に、GX自体に反対しているわけではないんですよ。すばらしいことだし、それは世界に向けても国民に対してもやっていかなければならないことだし、遅過ぎたぐらいのことだと思うんですね。
だけれども、それにまた原発を入れていく、ねじ込んでいくという気が私はするんですよ。そこにやはり不安を覚えるんです。決して悪魔ではありません。そうなんですよ。ただ、本当にこの日本の国を考えたときに、どっちの道に行くのか、そういって思うときに、この法案自体を通してしまうことの怖さを私はひしひしと感じているんです。その未来が予測できるから。バックエンドのことも解決していない。残されたものがいっぱいあります。
だから、私たちは真摯に、本当にこの国の未来を考えて、議員の皆様も考えていただきたいんですよ。まず、まあ党のことは大事かもしれません、でも、個人として、どうしていきたいのか、この国はどうあるべきかということを考えたときに、今まだ甲状腺がんなどで苦しんでいる子供たちもいっぱいいらっしゃいます。それが認められなかったり、医療的な支援も遅れていったり、そういうこともございます。私たちがしてしまったこと、そういったことを考えていくときに、やはり原発というのは避けるべきものではないのだろうかと思うんですよ。
ですから、GX法案、すばらしい取組ですが、どうか、この原発ということから離れて、本当の意味で、再エネ、省エネといった技術革新、イノベーション、そういったものを考えてほしい。そうしたら、もっとこの国はすばらしい国になるんじゃないかなと思うんです。
以上、たくさん思いのたけを話してしまって、質問ではございませんでしたが、また、通告にないお風呂の温度なんか聞いちゃったりしてごめんなさい。
今日は本当にありがとうございました。
【討論】
○宮﨑委員長
これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。佐原若子君。
○佐原委員
ありがとうございます。
GX推進法改正法案に、れいわ新選組は反対の立場から討論いたします。
お疲れのところ、よろしくお願いいたします。
本法案は、脱炭素社会の実現を掲げ、その実現手段を定めています。中でも排出量取引制度は、国際的な脱炭素の取組において有効な手段となり得るものであると考えています。国内へ向けて、世界に向けて、本気で成功させていくべきものと私は考えております。
しかしながら、カーボンクレジットの利用、排出枠の政府による買い支えによる価格の低迷、二〇三三年有償化以降の対象業種限定による排出枠取組の停滞といった懸念が拭えません。世界規模の目標達成への実効性を伴い二〇五〇カーボンニュートラルを実現するために、具体的な試算を持ってロードマップが描ける仕組みとするべきです。
そして、本法案は、原発の活用を明確に位置づけているGX二〇四〇ビジョンの方向性に沿って進められるとされています。
福島第一原発事故によって、多くの命、暮らし、動物たちとのきずな、地域のコミュニティーが奪われました。事故はまだ収束していません。子供の甲状腺がん、原発さえなければといって首をつった酪農家。原発はクリーンエネルギーと位置づけられないと私は思います。人間の営みを根底から脅かす存在です。
今、日本は岐路に立っています。原発推進のまま進んでしまうその未来でいいのか。脱炭素を口実に原発推進を正当化するこの構図に対し、断固として反対します。れいわ新選組は、脱原発と脱炭素を二本の柱とし、真に持続可能な社会を目指します。
そのためには、省エネへの取組が不可欠です。先ほどの御答弁において、政府では、省エネにも支援について御説明いただきました。更に積極的な投資により省エネの取組を拡大させるべきです。住宅への支援のほか、例えば、中小企業の断熱や省エネ技術導入、設備更新への財政支援も強化すべきです。また、御答弁では、それらはするということをお約束していただきました。それによりエネルギーコストを大幅に削減することができます。
生命の犠牲の上にある原発活用を前提にするのではなく、真に省エネと再エネの同時進行でエネルギーを賄うという道を日本は本気で追求するべきです。エネルギー政策の根本的な見直しを求めて、れいわ新選組の反対討論といたします。
目的は重要なことです。しかし、原発にこだわるということで、私たちは賛成することはできません。
以上、反対討論を終わります。
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